新月に落車、新宿西口

突然、ハンドルが前に沈む。慌てて、体勢を立て直しにかかる。が果たせず、身体ごと、前のめりに放り出され、ハンドルから手がすっぽ抜け、地面にダイビング。右肘と左胸に衝撃が走る。一度、地面でバウンドして、再び落下した時、更に、顎を植え込みの縁石にガツンと強打。
あちゃー。やってしまった。痛っ。右肘。大丈夫、曲がる。左手。大丈夫。足も、OK。骨は折れてなさそう。気を取り直して、立ち上がる。
と、目の前の道路の舗装路上に、ぽたりと鮮血が落ちた。あれ、切っちゃったか。
顎から血が出ている。
一体、どうなっちゃったんだ。と、体勢を崩した場所を確認する。ロータリーの脇、カーブになった道路の縁の部分に、直径1m程、深さ10cm位、陥没した穴がある。そうか、これか。不注意の一言。勝手知ったる走りなれた場所故、油断してしまった。ちょうど、何処に自転車を停めようかと意識が、あちらこちらに向かっていたのもまずかった。全く、時速10km未満で、落車して、血まで出しちゃって恥ずかしい。
おばちゃんが二人やってきた。死体に群がるハイエナのようにやってきた。「あら、大変、血が出てる」「大丈夫?救急車呼びましょうか。」
救急車は断った。
改めて、反省。注意力散漫。いつもの道だからという油断。
気を取り直して、出血する顎にハンカチを押し当てながら、自転車を歩道に退避させる。腹が減ったなぁ、晩飯の買い物、何にしようか、なんて考えていたのが、一遍で吹き飛んでしまった。
おりしも新月の土曜日の夕刻であった。