サクリファイス

何だかお盆を過ぎてから天候が安定せず、自転車に乗れない。ので、家で読書。読んだのは「サクリファイス/近藤史恵」。
自転車ロードレースを題材にしたミステリー仕立ての小説。主人公は素質に恵まれながらも、チームの中でエースを勝たせる為のアシストに徹する事に喜びを感じる若者。ちょっと優等生過ぎるきらいもある。でも、「たまには羽目を外して」走りたいという葛藤も多少は抱えている様子で、感情移入しやすい。
ロードレースの世界を迫真に描きながら物語は意外な方向に流れていく。最後は、あっと驚くどんでんがえし。ちょっと、ありえないんじゃないというくらい。でも、ロードレースという舞台でならアリなのかなぁとも思う。その辺は、この世界の門外漢には良く判らないから。としておこう。
読み易い文章で一気に読んだ。エピローグの微笑ましいエピソードはいかにもありがち。実際にもしかしたら有名な話なのかも知れない。例えば、競馬にそこそこ詳しい自分が日本の競馬界を題材にした松樹剛史の「ジョッキー」や「GO-ONE」を読んだ時、話の本筋とは別の所で、このモデルはxxだなと判ってしまうような感じで、ロードレースの世界に詳しい人が読めば、思わずニヤリとするようなシーンなんじゃないかと。もしそうだったら、判らない自分がちょっと悔しいけれど、まぁ、そんなの知らなくても、十分、楽しめたので良しとする。
ただ、エブリバディ・ハッピーでは物語にならない事は百も承知でいうと、最後に、残るこいつなんて悪い奴だったんだという存在のしこりが苦しい。せめて、悪人にも一分の理的な記述が見られれば良かったなぁと思う。とにかくハッピーエンドが好きな私。
そういえば、主人公の元彼女の気持ちも良く判らない。ま、もともと、自分は女性の気持ちは良く判らないのだ(^^;