無音走行

使い古しのタオルで自転車車体の汚れを拭っていた時、ふと気付いた。
チェーンが填まっている前後の歯車にもびっしり汚れが付着している。油を含んで黒い油混じりの泥で真っ黒になっている。拭ってみると、こびりついた油まじりの泥汚れが取れる。取れた後に歯車本体の鈍い金属肌が現れた。歯車の隙間までボロ布を差し込んでゴシゴシ。どんどん綺麗になる。今まで気付かなかったのが阿呆だけれど。もっと、早く気付けよという感じであるが。
チェーンも当然、汚れている。チェーンクリーナーというものがあるらしいので買ってきて試す。
スプレーを吹きかけて、ボロ布で拭う。チェンの一つ一つのコマを丁寧に、付属で付いてきたブラシでこする。驚くほどの汚れをこそぎ落す感じ。やってる内に、夢中になって、歯磨きでデンタルフロスを一つ一つの歯間に通すように念入りに、ブラシで汚れを掻き出し、ボロ布で拭う。チェーンの地肌も見えてきた。うー、良くぞ、今まで、平気でいたものだ。一週間、全く歯磨きせずに、歯垢がごっそり溜まった歯のようであった事が良く判った。
ひとしきり、綺麗にした後、新しく油を差す。布で拭った、余分なオイルは、若干、まだ黒いので、クリーニングは完璧ではないのだろうけれど、さらさらな感じなので、まぁ、今回はこんな感じで良しとする。
走ってみる。驚く程、静かな走り。無音走行とまで行ったら言い過ぎかも知れないけれど。楽しい。快適である。嬉しくなってくる。
今までの油差しはナンだったのか。多分、折角、差した油は、チェーンに付着した泥汚れに大部分が吸収されて、チェーン本体にはあんまり届いていなかったんじゃないのかもしれない。
しばらく走ると、他の音が気になってくる。地面の振動のショックを受ける時に泥ヨケやサドルがちょっと鳴く感じ。緩んだネジを締め直したら止まった。耳に入ってこるのは、ほぼ、風の音のみ。