中野正貴 東京

新宿三井ビル1FのEPSON epsite Galleryにふらりと立ち寄る。写真のギャラリーである。
トンネル仕立ての入口を入ると前後左右に東京の町並みを写した大きな写真の展示。全部、見覚えがある。六本木から渋谷方面へ下る所(最初、なんとなくアークヒルズから霞ヶ関の方へ抜ける所と勘違いした)、246の外苑前、神谷町から飯倉方面を見やる当り。伊達に自転車で東京中をふらふらしている訳じゃない。
でも、自分が自転車から見る風景と何だか違う。そりゃ、写真家が切り取った風景だから、普通の見え方とは違って当然、作家なりの視点があってしかるべき。でも、何かが、決定的に違う。よく観れば、あれ、人も車も全くいない。どうやら、朝早く、誰もいない時に撮った風景らしい。と、ここまできて、あ、「TOKYO NOBODY」の人かと、今更、気付く。
2000年に発売されたこの写真集はなかなか衝撃的だった。作者はこの作品の後も、色々、趣向を変えて東京を取りつづけているらしく、会場には、川から眺めたもの、建物の中から窓を通して外を観たもの等の大判の写真が並ぶ。
改めて、写真を観ながら俯瞰すると、結構、モニュメント的建物が目に付く。東京タワー、田町のNECのビル。窓の外に新宿の高層ビルや浅草の金色のウンコ(?)。荒涼としたお台場青梅地区のテレコムセンター。自転車で走っていると、のんびり走っていれば別だけれども、やはり走る事に集中しているので、じっくり観察したりはしていないものだ。走りすぎながら、何となく感じ取ってはいると思うけど。